あの時見上げた空は蒼く澄んでいたのに…ー
『深奈(ミナ)っ!今帰り?』
『うん。ひまだし帰ろっかなって。沙季(サキ)は?』
『あたし?今から後輩と会うんだ。深奈も行かない?』
深奈は少し首を傾げながら考えたあと、少し困った顔をした。
『行きたいんだけど…彼氏と会う約束があるんだ。どうしようかな…』
『行こうよ!彼氏も誘ってさ。どうせまた彼氏またないといけないんでしょ?』
『そうだね…。うん。行こうかな!』
『よし、決定!んじゃ行きますか!』
この時の私はあんなことになるなんて思いもしなかった。
秋の涼しげな風にふかれながらトンボが数匹飛んでいる。
後輩達との待ち合わせ場所は近くの公園だった。
高校に入学して約半年。後輩に会うのは久しぶりだ。
『あ!沙季先輩!それに深奈先輩まで。お久しぶりです。』
『祐、久しぶり。中学校はどう?』
『たいして変わりませんよ。あっ、変わったの忘れてました。龍!』
祐に呼ばれて年下の子供に混じって遊んでいた少年が振り向く。ひときわ目立つ髪の色。金色の髪が秋の風に揺れる。
この時から私の運命は大きく変わったのかもしれない…。