世の中には2通りの人間がる。
見える人間か、そうでないか…
残念ながら俺は見える人間。
俺は見えるがゆえに感じることがある。それはこの世は生きてる人間のものってこと。
死んだら終わりだ。死んだ人間はこの世では何もできない。
よく先祖や死んだ人間に手を合わせ願いごとをする奴がいるがそれは逆だ。
死んだ奴がこの世に残してきた未練を叶えるために願いごとをするんだ。
俺はそんな願いを請ける人間。黄泉請け人だ。
といってもあいつらは金なんかないからボランティアだが…
俺が受けた最初の依頼は小さな小さな死者の依頼だった。
俺が見えると分かると耳元でこういうんだ…
名前が欲しい、名前が欲しいって。
まいったよ。正直。意味も分からない。
お前は誰だっつっても分からない。性別すら分からないんだ。
面倒くさいと断っても毎日名前が欲しいって耳元で囁くから引き受けることにした。
まず俺がしたことは、彼?の場所を探すことだった。場所とは彼がこの世とつながってる場所だ。
大抵は墓だと思う。か、死んだ場所。
でも彼がこの世に残した場所は墓でも死に場所でもなかった。
小さな神社の片隅にある水子供養所だった。そして…