『そっ‥‥そっかぁ。』
思わず引きつり笑い。
あたしってばバカじゃない?!
何聞いてんのよ。
聞かなきゃよかった。
甘い物が苦手だって聞いちゃったら、
もう渡せないじゃんっっ。
どうしよ。
はぁ〜〜‥‥。
『何でンなコト聞くの?!ん?!今何か隠しただろ?!』
『か‥‥隠してないよっっ。』
やーん。
やっぱ聖人ってば鋭いし。
さすがは視力2.0。
『いや。ぜってー隠した。何ソレ?!』
聖人は、あたしが必死に隠そうとしていた、可愛くラッピングされたチョコに気付いた。
『だ、だめ‥‥。』
そんなあたしの声も聞かず、
聖人は、ソレを手に取った。
『何コレ?!奈央?!』
『‥‥チョコ。バレンタインの‥‥。』
あたしがそう言うと、
聖人は、少しの間、何か考えていたかと思うと、
『これ‥‥俺の?!』
―なんて、少し照れた様な顔で、
あたしの顔を見た。
ドキッ――
『うん‥‥。手作り‥‥だよ。』
ドキドキドキドキ――
チ‥チョコなんて――
大好きなヒトにあげるのも生まれて初めてで、
手作りしたのも、
生まれて初めてだった。
『んじゃあ‥‥食っちゃお〜〜っと。』
聖人は、一言そう言った後、
突然、チョコのラッピングをほどいて、
中の小箱のふたを開け、
チョコをパクパク食べ始めたんだ。
『甘い物、嫌いなら無理しないでね。』
あたしの声が聞こえてませんと言った調子で、
聖人は何も言わずに、10粒のトリュフを全て食べてしまった。
『あ―美味かった。奈央、サンキュ!!』
あはっっ。
その満足そうな顔が、
なんか可愛かった。
『聖人、一気に食べて、お腹大丈夫?!』
『おぅ。全然大丈夫。食おうと思えば、もっと食えるぜ。』
えぇ〜〜〜っっ?!
『聖人、本当に甘い物苦手なの?!』
だって、あんな一気に食べるんだもん。
『甘い物は苦手だけど、チョコ系は大好き。ヘンかな?!』