大きく開かれた扉の先に現れた少年の姿に驚くシーラの声は震えている。
シンとした部屋に少女の声は流れるように響いた。
「ランス…」
ランスォールはつかつかとシーラとカロウドの間に入りシーラに背を向けて言った。
「お前がカロウドか?」
「だ、だったら何だと言うのだ。お前こそ何者だ!そ、それにここまでどうやって来た!警備の者はどうなっている!?」
「わりぃな。全員のしちまったわ。」
飄々とした様子でそう言ったのはラウフだ。
「全員倒したというのか…」「いつぞやの魔物の方がよっぽどやりがいあったな。」ラウフは余裕のある表情でカロウドを挑発する。
「おい。」
ランスォールが言った。
「盾はどこにやった?イツキっつー御神のガキが持ってきただろう?」
「ふん、知っていたところで誰がお前たちなどに言うか。」
ドカッ
「な、何をする!」
「言わないならもう一発殴るが。」
拳をちらつかせてランスォールがそんなことを言うのでカロウドは息を飲んでしまった。
「わ、わしは殴られたところで痛くも痒くもないわ!」しばらく目をパチクリさせていたがやがてそれの意味が分かったらしくランスォールは急に踵を返し唖然とするシーラの手を掴むと部屋を出ようとした。
「ど、どこへ行く!」
「…屋敷ん中探す。」
淡々と答えられた。