偽りの教室 〜プロローグ?〜

たねこ。  2008-09-28投稿
閲覧数[535] 良い投票[0] 悪い投票[0]

小学生の頃、あたしは何の思い出もつくらず、毎日を普通に過ごしていたように思う。
今あの頃を思いだそうとしても、傷付いたことや教室の風景くらいしか思い出せなくて、運動会で勝ったとかいう感動的なシーンとかは全く思い出せなかった。つまり、六年間を無駄にすごしたということ。あたしは毎日を適当に過ごしていただけだった。
――いや、過去形じゃおかしいかな。
今、この時も適当に過ごしているから現在進行形じゃないと。

あたしは赤く染まった町並みを見下ろしながら笑った。
――上手に笑えたかな。それとも、いつもみたいに笑ったのかな。

あたしは一瞬考えて、そして考えるのをやめた。
今となってはそんなことどうでもいいんだ。
もうすぐで、あたしはあたしじゃなくなるから。

よし。もうこんな暗いこと考えるのはやめよう。
あたしはもうあたしじゃなくてわたしになるんだ。
過去のことなんか思い出す暇もないくらいみんなに好かれている、明るくて前向きで、そして優しい女の子になる。
わたしは大きく頭を反らして深呼吸した。未来への期待と一緒に肺も膨らませる。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 たねこ。 」さんの小説

もっと見る

学園物の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ