偽りの教室 〜プロローグ?〜

たねこ。  2008-09-28投稿
閲覧数[530] 良い投票[0] 悪い投票[0]

大丈夫。誰もあたしのことなんて知らないから。わたしが明るく元気に振る舞えばそれがわたしになる。だから大丈夫。

「あたしはわたしになるんだ。
いつもみんなに囲まれて、幸せそうに笑っているわたしに、なるんだ。」

あたしはそう自分に言い聞かせた。
…不思議。自分に言い聞かせると、まるで本当のように聞こえてきた。
もう大丈夫だと思う。

わたしはわたしの部屋にある大きな鏡に、全身が映るようにして立った。
そして笑う。にっこりと。うん、上手に笑えた。
わたしは自分の笑顔に満足して、ベッドの上に寝転がった。
近くにあったぬいぐるみを抱き締めようとして、ぬいぐるみが無いのに気付いた。ぬいぐるみを取ろうとした手が宙でさまよい、すぐに引っ込めた。
思い出した。もうここにはないんだった。
少し寂しく感じたけれど、明るく振る舞う練習!あたしはてへっ☆忘れちゃってた〜。といいながら頭をこづいた。
…少しやりすぎただろうか。
今までの自分とは正反対の振る舞いに戸惑い、もう少し自然になるようにしよう、と思った。
すると。

「春希ー、もう準備できたのー?行くわよー。」

階下からお母さんの急かす声が聞こえた。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 たねこ。 」さんの小説

もっと見る

学園物の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ