医者は少し考えたあと、答えた。
「消防士の方々だったと思いますよ。あの炎の中に飛び込めるのは普通に考えて防火服を着てないと無理でしょうし。」
(そう言えばそうか。)
ウィルはそっけなく思った。
「すみません、電話を借りたいのですが、いいでしょうか。」
医者は謙虚に尋ねた。
「いいですよ。電話は廊下に出て左の突き当たりです。」
「ありがとうございます。」
このご時世になんて腰の低い医者だろう。ぺこぺこしながら部屋を出ていくその背中を見て、ウィルは感心した。
やがて重いまぶたが再び閉じられた。
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静かに響いた雑音が
みんなの耳にこだまする
『母さん、変な音が聴こえるよ。』
世界は平等なんだ
神様は公平なんだ
『母さん、頭が痛いよぉ』
新しい世界の住人よ
選ばれし我が同士よ
『ねえ、母さん聞いてるの?』
試練に耐えよ
苦境に耐えよ
『母・・・さ、ん??』
静かに響いた雑音が
みんなの耳にこだまする
『起きて!ねえ、起きてよ!』
聖なる音色は新世界の住人を選ぶだろう
『・・・・誰・・・?』
聖なる音色はアシキモノを消すだろう
『そこにいるのは誰?』