何気なかった
少しゆっくり僕の隣を歩く貴方が
少しだけ辛そうにでも自転車を漕ぐあなたが
それはずっとそうなのか
それはいずれ治るのか
そのふたつしか僕にはなくて
いつからだったろう
僕はどうして見落としてた?
気付いた時には自転車に乗る貴方の姿はなくて
歩くペースはとても辛そうに
ゆっくりなんてもんじゃなかったね
一歩がきっと精一杯だったから
その辛さを幼過ぎた僕は分かってあげられなくて
あの時はとても言葉にはできない非道い事を想った
罪悪感が胸をえぐる
いつしか
あなたと僕は少しだけ離れた別の場所に帰るようになって
会おうと思えばすぐに会える距離なのに
月日は年という長さを廻った
どうしてだろう
忘れてしまってたんだろうか
これは僕の記憶がおかしいのだろうか
あなたはこんなだったろうか
あなたは少し太っていたんじゃなかったろうか
あなたはこんなに
こんなにも小さかったろうか
お前が大きくなったんだよ、と
笑うあなたの笑顔はこんなにも寂しいものだったろうか
痛みは転々と増えていて
まるで事故でもしたかのような包帯の後
小さい頃見た時より
明らかに多い散らばった薬
痛い?
聞けば、
もう慣れたよ
って…
おばあちゃん、そんな事悲しい事言わないで
どうか嘘をつかないで
どうかそんな風に笑わないで
神様、こんな僕を許して下さい。
大切な人に甘えてばかりで
勝手な理由で離れて
都合良く会いに行った
こんな寂しい顔をさせた
自然な現象を受け止めたくない
わがままで愚かでどうしようもない僕には
たった一人大切な人がいます
せめて笑顔が戻るまで
どうかあの人を連れてかないで