フワリフワフワとその日も過ぎるはずだった。
けど、朝からなんだか気持ちがソワソワして、いつもならほっとける化粧までほどこしたりしてまるで、大切な誰かに逢うような…そんなきがしたのかタマタマナノカ、兎に角あたしは、ここ最近はないくらいに美しくシャンとしていた朝だったのである。
新聞でも、と職業がらか死亡欄を確かめる。誰か知った方はなくなってないか…そこには、六年前に別れた年下の彼のなまえが。アタシはそーっとゆびで[村野尚]の文字をなぞり「やっと逢えたね」と呟いた。
向かった先は通夜の会場
「バイクの事故だったらしいで」
「結婚式前だったんやろ?」このての話が会場のいたるところで囁かれてはすすり泣きがもれていた
(…へ〜結婚するんやったんかぁ!アタシなんかまだまだズルズルひきずってんね…死んだらアカンやんか。)
…と会場に入るともなく所在なさげに立ちすくんでいると
「ヨオ!カッコじゃんか!久しぶり!元気にしとったけ?」ときき覚えのある懐かしい声が背後から響きわたった。
アタシは振り向くのが、気恥ずかしく、怖かった