私の枕元にあぐらをかいて座っているのは間違いなぐ隆史(たかふみ)゙だった。左の額からは血の流れたあとがある。
<おい!なんだよ、その顔>私には声を聞く能力なんてないはず‥でも今、頭に響いてくる…隆史の声。
ありえない、ありえない、
<な、お前、見えてんだろ? ちょっと教えて欲しい 事があるんだよ。>
「な‥に‥?」
頭の中で話してみる。友達だからか、不思議な事に怖くなかった。
<オレ、どうなったんだ?>少し困惑した顔をみせた。「何も覚えてない?」
<おう…>
隆史は、自分の死を理解していなかった。
「事故で死んじゃったんだ よ。」
<え?オレが死んだ?>
今度は首を横に振って小さく笑った。
「車の運転中に居眠りした でしょ‥その時、ガード レールにぶつかって…」 私は必死で説明した。根拠はないけど、死を受け入れなければきっと現世にとどまってさまよってしまう‥隆史にはそうなって欲しくない…。