カッターの刃を、手首の上で擦る。
血はいつも少し出るだけ。
そして、その後はため息をついて学校から出て行く。
こんな事をどれだけ繰り返せばいいんだろう。
何かしたい。でも何をしたいのか分からない。
小さな犯罪をしてみようかな。
「いらっしゃいませせー」
レジに立っている金髪の女の子に目をやり、コンビニ内をさまよう。
なるべく安いものがいいかな。
消しゴムを手で隠しポケットに入れる。
心臓の音が高くなる。でも何か買わないと怪しまれるかな。100円のガムを買ってこ。
レジに行き、女の子の前に立った時…
…
「誰にも言いませんから」
女の子は、笑顔で私にそう言った。
血の気が引いた。
すぐに店を出て走った。
コンビニが、完全に見えなくなっても、走りつづけた。