僕へ送る手紙

もうぎゅう  2008-09-29投稿
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中2夏、オレはかなりイラついていた。特別な理由なんてない。ただ「ヤツ」が「ウザイ」からだ。
ウサ晴らしに、適当に、その辺にいたイケてるハタチぐらいのOL風の女を犯してみた。罪悪感という偽善的なものは、まるで感じなかった。
そこにいた奴が悪い。ただ、それだけだった。
翌日、「連中」は朝っぱらから、寝ていた部屋にドカドカ入り込んできて、オレを捕まえに来た。
事情を聞いた「ヤツ」は泣きながら
「なんて事をしたのっ、あんたはっ!?」
バシッ!!と平手打ちをくらった。
「いってーな、何すんだよクソババァ!!」
まぁ、まぁ、と「連中」は二人を引き離した。
ユウスケは、ケンカ、窃盗などをくり返していたが、捕まったのは初めてだった。

少年院は、つまらなかった。

だか、「ヤツ」がいない事は有意義だった。あのイラ立つ顔を見なくて済む。そこで黙々と、つまらない事の繰り返しの日々を送った。

3年後、ようやく出所の日を迎えた。

塀の外へ出た。
(はぁ、やっと出れたかぁ。)
高揚感で、ガラにもなく少し微笑んでみた。か、すぐにいつも通りの、不満げなつり目に戻った。
目の前には、「ヤツ」が立っていた。
「何しに来たんだよ、クソババァ。」
すぐに悪態をついた。それに負けじと40過ぎの女性は
「何言ってんのっ。あんた、行く所ないじゃないの。早く乗りなさい。」
乗ってきた車に、細身のユウスケの左腕を捕まえて、助手席に乗せようとした。
「何だよっ、離せよっ!!」
すぐに捕まれた手を振り払った。
「ほらっ、早く乗りなさい。」
オレは、もう面倒くさくなって
「わかったよっ!!チッ、うぜーなぁ。」
と、しぶしぶ助手席に乗った。

目の前のバックミラーに[家内安全]のお守りがぶら下がっていた。

車の中で、二人は一言も話さなかった。
ラジオからは、聞いた事のない歌が流れていた。

2時間程で、施設の(音無苑)という所へ着いた。
ユウスケは、捕まる前までここで暮らしていた。6歳の時に父親に見捨てられ、ここへ連れて来られた。

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