序章 ネロ
21世紀初頭 12月
「このぉー!くたばれ!」
ネロ少年は日本刀で男に斬りかかった。
男はあっけにとられている内に、
ネロの日本刀で、肩、胸、腹とえぐるように斬られた。
男は倒れ、うずくまっていた。
ネロは、その上に立ちはだかった。
男は声にならないような小さな声で震えながら言った。
「ネロ、こんなことしていいと思っているのか・・・」
ネロはさらに怒りの表情になり、
「そんな口きけねぇー様にしてやるぜ」
ネロは男の口に日本刀を入れ口の奥まで押し込み、
その次の瞬間、男の顔に足を踏みつけた。
男は震えながら、もがき、苦しんでいた。
19世紀 クリスマス
ネロ少年と愛犬パトラッッシュは、雪の中を歩き、空腹のなか
誰もいない教会にたどりついていたのです。
ネロとパトラッシュは抱き合っていました。
「パトラッシュ、寒いよ、なんだか疲れたよ」
月の光が教会のネロが今までお金がないためにみれなかった
ルーベンスの絵を照らし出していました。
「パトラッシュ!ねえ、みてごらん!これが、あんなにみたかった
ルーベンスの絵だよ」
ネロもパトラッシュも喜びの涙をうかべ
「神様、この絵がみれて幸せです。もう何もいりません!」
ネロとパトラッシュは死にました。
そして、天使がまいおり、お金も、食べ物も心配のいらない天国へと
いったのです。