Asideの前夜
とある豪邸。
そこでは盛大に酒を飲み交わす男達がいた。
ワイワイガヤガヤ
ゴージャスの一言で表せる装飾の中で大いに雑談を交わす男達。
「いやぁ、毎度毎度ありがとうございます」
「まあ金ならあるしな」
今までの会話文からはただの富豪と想像出来るが、彼らはそんなものではない。
「しかし一般人のお金でこんなことをするなんてどうでしょうね」
彼らは議員である。
国の行政を司る議員。彼らは国民からの金をつかって遊びほうけているのだ。
ワイワイガヤガヤ
それは今日も続く予定だ。
ワイワイガヤガヤ
しかし、それは一人の男によって阻止される結果となった。
ガチャ
「すみません」
唐突に扉が開かれ、外からはタキシード姿の男が入ってきた。
「皆様議員の方ですよね?」
その男には特に目立つ点がないものの、普通ならば誰だか聞くはずだ。しかし、彼らは大量に酒を飲んでいたためタキシードも交えて会話を始めようとした。
「ん?もしかして新しい議員か?」
「おいおい、そんなきちんとした格好じゃなくていいって」
「はっはっは、とりあえず飲め飲め」
暢気に酒をすすめる議員達。
彼らは気付かない。
ワイワイガヤガヤ
そして
シュッ、シュッ、シュッ
前にいた三人の首は床に転がった。
叫ぶ事も出来ずに。
バタバタと体が崩れ落ち、後ろにいた議員達はタキシード姿の男を凝視する。
タキシード姿の男の手には長めのナイフが握られていた。
「・・・・お前、何者だ?」
議員達が緊張する中、男はどこか愉しそうである。
「ん?俺か?」
そして名前を聞いた瞬間、議員達の時間は止まることとなった。
「新聞やなんかではダラードって呼ばれてる」