駅から自宅まで、急いで走っても、15分。夏の雨は、生温い。空気も生温い。
途中で、歩幅は徐々に狭ばまって、濡れない様に急いで走る事を諦めた。
駅から自宅までの帰路の丁度半分まで来た所に、カラスが鳴く、薄暗い、神社が有った。
その横を通るのは、昼間でも、薄気味悪かった。
そこだけは、少し早足で通り過ぎ様とした、その時―\r
神社の横の狭い道に、一台のワンボックスカーが、エンジンを掛けたまま停まっていた。
「ねぇ、この辺にコンビニって無いかなぁ?知らない?」
大学生くらいの歳の男性が一人、後部座席の引き戸をガラッと開けて、出て来て言った。
突然の事に、ビックリして、思わず、足を止めた。
「あ、あの・・・、コンビニなら、この先の道を左に行けば、直ぐ有ります・・・。」
その男性は、口角を上げて、ニヤリと笑った。
「ありがとう・・・。凄い雨だね〜。ズブ濡れじゃん、家まで、送ってってあげるからさぁ、車に乗って行きなよ。」
そう言うと、いきなり凄い力で、私の腕を掴んだ―\r
「良いです、一人で帰れますから・・・。」
言葉を言い終える前に、私は、表現出来ない程の恐怖感に襲われた・・・。
それまで、ニヤニヤしていた男性の顔が、急に鬼の形相に豹変した。
「送っててやるって、言ってんだろ!!可愛くねぇなぁ・・・。さっさと乗れよ。」
とっさに声は出なかった。車の中に、半ば強引に引っ張り込まれ、「や、止めて!!」
と声が出たのは、後部座席の引き戸が閉まってからだった―