『…俺は…もうすぐ…死ぬ…』
椿のその言葉に鞠花は錯乱し、泣き叫んだ。
一人にしないで…
死なないで…
嘘だと言って…
突然の余命宣告
椿にも誰にもどうする事は出来ず
運命は闇の道へ進む
「……すみ…れ…それは本当に…?」
「ええ…ちゃんと病院にも行ったわ。…私が…どれだけ悩んだか分かる?」
菫は自分のお腹を押さえ、目から頬をつたり涙が落ちる。
「…あなたと別れた後に気付いたのよ?…あなたは私を引き止めもしなかった。蓮華は私をもう愛していないと思った。…この子をどうすべきか悩んだわ…悩んで…悩んで…でも答えは一つだったわ。私は…蓮華を〈まだ〉愛してる。この子は私が愛する蓮華の子供…殺せない。だから私は、あなたに再びヨリを戻してくれるよう頼んだ。……私は…あなたとヨリを戻せて嬉しかった…」
菫の言葉は、蓮華にはすぐに受け入れ難い事実。
ただ呆然と話を聞く。
「…でも…ヨリを戻す承諾をしたあなたは…前みたいに私を愛してはいなかった。あなたは…血の繋がらない妹を愛していたのね…」
「違う…」
蓮華は顔を歪ませ、否定する。
バシィ─
菫は、蓮華のみえすいた嘘に怒り、平手で蓮華の頬を叩いた。
偽りの気持ちを言い、誤魔化そうとする蓮華に腹をたて、菫は悲痛に顔を歪まる。
愛してしまった蓮華を嫌いにはなれ無い自分が、憎く思える。
「─ッ!」
「…蓮…華…あなたが決めて…」
菫が蓮華の手をとり、自分のお腹に触れさせる。
「…あなたが決めて…この子を殺すか…殺さないか…。私とこのまま付き合うか……鞠花ちゃんをとるか…」
「……ッ」
「あたなが決めて…蓮華…」
「椿…つば…きィィ…」
鞠花は、椿の背に手を回し、強く抱きつき、目から涙を溢し、悲しみはハカリしれない。
椿はただ悲痛に顔を歪ませ、鞠花を抱き締める。
「……鞠花…ごめん…ごめ…ん…」
「……嫌…嫌ァァ…私も…連れていって…椿…一人に…しないで…一人にしないで」
一人にしないで
私も一緒に
連れて
逝って…