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サトル君とミズホさんのH校合格発表の日――
『奈央!!サトルとミズホ合格だってよ!!』
机の上に腰を下ろしていた聖人が、携帯の画面を見ながら、あたしに言った。
『うん!!あたしの携帯にも今、ミズホさんからメール来たよ!!』
H校は私立だから、個人別に封書で合否の連絡が来るんだけど、
それより一足早く、学校にも連絡が入るらしい。
『ミズホはともかく、サトル‥よく受かったな。俺、アイツが勉強してんの見たコトねぇし。』
そう言って、聖人はあたしの方を見て笑った。
『あはっ。でもホント2人揃って合格出来てよかったよネ。』
『おぅ。そんじゃ、サトルの浮かれてる顔でも見に行くか?!3-5に。』
『うんっっ!!』
よかったね。
ミズホさんとサトル君。
クラスも一緒になれるといいね☆
あたしも、この1-3のクラスメイト達と一緒にいられるのもあと少し。
それは、
2年になる時にクラス替えがあるから。
2年生になったら、一体どんなコトが待っているのだろう。
新しい“トモダチ”出来るかな。
そう言えば――
あれからユカは、サチヨと一緒にいない。
1人で席につき、本を読んでいる姿を、
よく目にする様になった。
周りのクラスメイト達は、
そんなユカに対し、
聞き捨てならない陰口を言ったり、
シカトしたりしてた。
ユカを見ていると、
まるで、
1学期の頃の自分を見ている様だった。
でも違う所がひとつ。
あたしには聖人がいるから。
サトル君、ミズホさんがいたから。
ユカ――
もし、また仲良くなれるキッカケが出来たなら、
あたしは、前の様に戻りたい。
もし、2年生になって同じクラスになれたなら、
そのキッカケを掴みたいんだ。
何時か――
あたしの中学校生活は最高だったって、
笑って話せるトキが来たら――
それって凄く素敵なコト――
オトナになるコトって――
決して悪いコトばかりじゃないよね――
あたしは、そう信じてるんだ――