『…あなたが決めて…私か鞠花ちゃんか…あなたの意思に…私は従う…』
『…鞠花は…一人で生きていけない。あんたが支えになって…欲しい…』
頭の中がグチャグチャで、どの選択が正しいのか、何を選べば良いのか
分からない…
「………ん…げ…蓮華…」
眠れない日が続き、ソファでいつの間にか居眠りをしていた蓮華を、帰宅していた鞠花が揺り起こした。
「風邪引く…眠いなら部屋で…」
「……椿の…所に…いくのか?」
「椿…親忙しいから…誰もいないの…傍にいてあげないと…」
鞠花がそう言い、蓮華から離れようとした時、反射的に蓮華は鞠花の手を掴んだ。
「蓮華…」
「鞠花…お前…俺の事…好き…なのか…?」
蓮華が下を向き、声を震わせ聞いた。
鞠花は蓮華の言葉に動揺する。
「な…にいって…」
「俺の事愛してるのか!!鞠花!!」
蓮華が声を張り上げ、顔を上げると鞠花の目を真っ直ぐ見つめる。鞠花は、蓮華に掴まれている手を震わせ、動揺を隠し切れない。
「──……して…無い。…愛…してないわ。蓮華…」
「ッ」
蓮華は掴んでいた鞠花の手を引っ張り、引き寄せると鞠花を抱き締めた。
「…俺…は…俺は…お前を愛してる。鞠花」
「──!」
鞠花は、蓮華の腕の中で一粒の涙を溢し、次々に涙がこぼれた。
心に溜めていた想いが一気に溢れ出た。
「──…蓮…華…蓮華…」
「…鞠花」
二人は互いを抱き締め、互いの想いが初めて通じ合った。
長い
長い間
鞠花はこんな日を待ちこがれていたのかもしれない。
心をいくら偽っても
偽る事なんて出来るはずも無かった…
ただそこには蓮華を愛する深い愛だけが存在した。
「愛してる…鞠花」
「……蓮華」
二人は固く抱き合い
お互いを見つめ合うと、鞠花は目を瞑った。蓮華が鞠花に口付けようと頬に触れた瞬間、鞠花は目をバッと見開き、蓮華を突き飛ばした。
「……椿…」
鞠花は椿の名を呼ぶと、目の前の蓮華を見て我に返った。
「私は…何を…」
「鞠花…」
蓮華が鞠花に手を伸ばした。
「触らないで!!」
「まり…」
「触らないで!!私の心に入ってこないで!!…私を…苦しめないで…」
鞠花は涙を流しながら、悲痛に顔を歪ませ、叫んだ…