「車から降ろして下さい!!」
私は、力一杯叫んで、抵抗した。
車の中には、二十歳前後の男性が四人乗っていた。運転席に一人、助手席に一人、後部座席に二人・・・。
「大人しくしてな。痛い目に遭いたくねぇだろ?お兄さん達が、優し〜くしてやっからさぁ。」
私の事を、車の中に引き擦り込んだ男性が、私の肩を抱いて、不気味な笑みを浮かべて言った。
「なぁ、早く車出せって。ここは流石にヤバイって。」
助手席の男性が、運転席の男性に、肩を叩いて、そう促した。車は、急発進し、みるみるうちに、見慣れた街が遠くなって行くのが、黒いスモークが貼られた窓から、見えた。
「離してっ、触らないで!」
私は、必死に、男性の腕を振り払おうとした。
「可愛くねぇな、楽しもうぜ・・・。な?」
後部座席のもう一人が、私の腕を強引に掴んで、ベンチシートに押し倒した―\r
「止めてっっ!!あっちゃん助けて、痛い、痛いよ!」
淳には、聞えない―\r
解っていても、助けて欲しかった。
淳の笑顔が頭から離れない―\r
「あっちゃんって誰?彼氏?助けに来てくれたら良いねあっちゃんがさっ。」
そう言って、足元に転がっていた、粘着テープを手に取り、歯で引きちぎって、私の手首に巻き付け、自由を奪った。
「あっちゃん・・・。」
叫び声も、次第に枯れて行った―\r
「あっちゃんより、優しくしてあげるから。仔猫ちゃん・・・、俺が相手してあげるよ。」
手首の自由は利かなくなっても、枯れた声で叫び続けた―\r
その時、運転席の男性が後ろを振り返って、叫んだ。
「おい、中川、女、うるせ〜から、口にもテープ貼っちゃえよ。」
遂に、口の自由も利かなくなった。
それでも、心の中で叫び続けた。淳の名前を―\r