「…左を見ろ」
サイスは、グランの言うとおりに左を見て、金竜の存在を確認した。
「……あ〜…またやっちゃった?」
「ゴガァ!ガァ♪」
「はいはい…ご苦労さん」
「…早くそいつを何とかしろ」
グランが金竜を指差しながら言った。
「あいよ………混沌から出でし『金』の竜よ…連なる聖の鎖を解き…我が魂に静まりたまえ!」
サイスの呪文と共に、金竜はサイスの胸に吸い込まれるようにして消えた。
「……アスカさん…」
「元気出しなよ…レン君……火山には何の目的で来たの?」
「…シズナ師匠を…助けに…」
「…へ?」
「だから…シズナ師匠を…」
「ちょっと待って…シズナって…まさかとは思うけど…シズナ・イ=マルド?」
「そのまさかだねぇ」
「何で何で!?どこにいんの!?」
レンの肩を掴んで激しく揺らすライト。
「よくぅぅ…分かんないけどぉぉ…火山のぉぉ…噴火口にぃぃ〜」
「奴らか!」
「多分そうなんじゃないのぉぉ!」
「ちっくしょう!」
ライトはレンを突き飛ばすと、火山の噴火口に向かって走って行った。
「…?」
「レン……ライトの本名はな…ライト・ナ=マルド……だ」
グランがレンを起こしながら言った。
「…え…?」