僕へ送る手紙 3

もうぎゅう  2008-10-01投稿
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野宿を覚悟はしていたが、意外とすぐ近くに住み込みの仕事が決まった。15歳という年齢を偽ったが、もともと若々しくないユウスケは疑われる様子はなかった。自分自信も自覚はしている。
仕事内容は、道路とかの穴を掘る建築業である。
とにかく何でもいい、何とかなるだろ、と、軽く考えていたが、仕事はかなりきつかった。元ヤクザだと、くだらない過去の自分を自慢する親方、高校生の彼女を妊娠させたと自慢気に言いふるまう25歳の仕事仲間。くだらない。
何度もケンカをした、何度もやめようとした。しかし、戻る事のできない意地で、仕事は休まずやり続けた。
さすがにストレスは溜まる。息抜きが必要だった。仕事を始めて3カ月後、ユウスケは休みの日には少人数の暴走族に参加していた。
仕事仲間の友達に誘われ、なんとなく行ったのだが、これが意外と楽しい。無免許で乗っているバイクを磨いて、眺めるのが日課となっていた。

今日も、当たり前に集会へ行った。仲間としゃべってると、後ろから
「おいっ、ユウスケ。ちょっと来い。」
リーダーのアキラさんだった。あまり族っぽくない、サラサラした黒髪のイケメン。外見に似合わずケンカが強く、人望がある、ユウスケ憧れの人だ。
「なんすか?アキラさん。」
「ちょっとお前に紹介したい子がいてな。」
すぐ横の女が照れたような笑顔で、恥ずかしそうにお辞儀をした。
「あっ、はじめまして・・・。ミカと言います・・・。」
ミカは、ようやく聞き取れる、か細い小さな声で自己紹介をした。
ここには似つかわない、綺麗な黒髪のショートカット、クリっとした目、ユウスケはすぐに一目惚れをした。
それを見越したかのようにアキラがユウスケに耳打ちをした。
「なっ、ユウスケ。ミカちゃん、かわいいだろ?」
「あぁ、まぁ・・・、そうすっねぇ。」
女性が苦手で、初めて一目惚れというものを経験したユウスケは、そう言うのがやっとだった。
「ミカちゃんさぁ、お前に一目惚れしたらしいぜ。」
「えっ!?」
「どうだお前、明日休みだろ?デートに付き合ってあげろよ。」
聞こえたミカはさらに恥ずかしそうに、顔を赤らめた。

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