「分かっております」
ラトはそう言って笑うと、部屋から出て行った。
さて…ロザラムへの処置はこれでいいだろう。問題はフードの人物…か…―\r
リグラは腕組みをしながら、目を閉じて首を捻った。しかし…ここまで事件の概要が分かったのも、ロバートがあの子達をこちらによこしてくれたお陰…か。あいつには感謝しなくてはならんな…―\r
リグラは頭の中で若かりし頃のロバートの静かな表情を思い描いていた。
しかし…嫌な予感がするのぉ…―\r
リグラは目を開けて、鋭い眼差しを窓の方に向けた。奴らがこれだけで済ませるとは思えん…当然、またどこかの町や村を襲うはず…。だが、今度はそうはいかんぞ。各地に狼煙台を設け、全ての町や村にはソードメーカー騎士を配置している。町や村が襲われても、直ぐに数十人の騎士が現場に急行できるシステムを構築しておいたからの―\r
そう思いながらも、リグラの胸中には不安が渦巻いていた。
何かを見落としている気がしてならんな…―\r
リグラは窓の外に映る青い空を見つめながら、一つ小さくため息をついて、ぽりぽりと頭を掻いた。
「それにしても、兄さんがあのフードの人物に襲われていたなんて、思いもしなかったよ」