翌日の日曜にミカと、生まれて初めてのデートをした。20歳の年上だと聞いた時は、同い年ぐらいだと思っていたユウスケはびっくりした。
ミカは集会に来たのは友達の、半ば強引な誘いだったらしい。ユウスケはなぜだかわからないが、ホッとした。
手も繋げず、あまり弾んだ会話はなかったが、お互いに惹かれていくのがわかる。
夜10時に、送った先のミカの実家はユウスケの知らない、幸せを絵に書いたような立派な家だった。
帰り際に、アキラさんのアドバイスとはいえ、キスをしたのはユウスケにとって、目一杯の冒険だった。ミカも、もちろん嫌がる様子もなく、照れた表情を浮かべていた。そして、付き合いたい、と素直なユウスケの言葉に、ミカは素直に喜んで受け入れてくれた。
ユウスケは実家に帰ると、すぐに布団の上に仰向けに倒れこんだ。
(ふぅ、今日は疲れた・・・。)
幸せというものが、生まれて初めて少しだけわかった気がした。しかし、ユウスケは一つだけ不安があった・・・。
1週間後、アキラさんに相談しようと考えた。が、アキラさんからすぐに電話が来た。
「もしもし。」
「よう、ユウスケ。今日はどうだった?楽しかったか?付き合う事にはしたのか?」
「はい・・・。でもちょっと気になる事があって・・・。」
アキラは、ユウスケ何を言い出すかわかったかのように
「あぁ、ミカちゃんはお嬢さんらしいからなぁ。親には話に行くつもりなのか?」
「はい。」
「まぁ、施設にいたのは仕方がない事だから、正直に話せば問題ないよ、大丈夫だから気にするなよ。」
アキラさん、その他の人達にも、ユウスケが女性を襲って捕まった事は知らない。
「・・・はい、そうですよね・・・。」
「まぁ、気にすんなよ。たいした事じゃねぇからさ。」
アキラさんとの電話が終わったあと、どうしようもない不安が襲ってきた。
どうするか・・・、全ての過去をミカには言うべきか?・・・いや、言える訳がない。嫌われたらどうするんだ・・・。いや、確実に嫌われる。黙っておくしかないか・・・。
来週はミカとの約束で、ミカの両親に挨拶しに、実家に呼ばれている。
ユウスケは生まれて初めて、自分がした過去を心の底から悔やんだ。
時計を見ると、すでに3時を過ぎていた。