ドカーンッ!
凄まじい轟音と共に、家が揺れて部屋が傾いた。
何が起きたのか分からず、傾いた部屋から出て一階のキッチンへ向かった。
一階に降りて、キッチンにつながる扉を開けた僕は驚愕した。
目の前にあったのはキッチンではなく、大型のトラックだった。
トラックを見た刹那、僕の目は別のものも視界に捕らえていた。
トラックのタイヤの下敷きになっている妻だ。
大声で妻の名を呼ぶが、返答がない。
急いで妻のもとへ駆け寄った。
僕は愕然とした。
そこにあったのは、凄惨な妻の姿だった。
脈を確認するまでもない。即死だ。
キッチンでは、僕の妻の名を叫ぶ声がいつまでも響き渡っていた。
―――五日後
こんな話を聞いたことがある。
『未来は変えられない。
未来を変えようとして過去を変えても、すべてはその未来に向かって修正を行う』
妻の納骨まで済ませ、家の傾いた部屋の机に座り、あの紙を読み返しながらそんな言葉を思い出した。
妻の死を受け止めるしかない現実に、僕はただ痛哭した。
手は涙に濡れた紙を握りつぶしていた……。