「ねぇ、アタシのこと好き?」
ナオキの首に
腕を回して、
彼の少し傷んだ髪に、口唇を寄せて。
アタシは囁くみたいに、尋ねる。
「好きだよ」
ナオキは、
優しく答えてくれる。
「本当に?
大切に思ってる?」
「思ってる。」
嘘。
知ってるから。
他に付き合ってる娘がいるって。
だけど、
アタシのこと、
好きって言ってくれるのは
ナオキだけだから。
好きって
言って欲しいのも、
ナオキだけだから。
だから嘘を、つき続けて。
「…大切に思ってるから…」
ナオキが、
小さな、
消えそうな声で。
「……絞め技は、
ちょ、ギ、ギブ…」
…うん、
許せないものは
許せないってゆーか。
― Fin.