BAD GIRLその?

ケィ。  2008-10-04投稿
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「服が汚れたじゃねーか、あぁ?」

知るか。
俺のせいじゃねぇよ。
不条理な思いが胃腸の辺りでぐるぐる暴れているが、表には出て来ようとしない。
人類と砂鴨(乾燥地帯の家畜)以外に語りかける言語を、俺は知らないのだ。…のだ。

「何とか言ったらどうだ、〇〇〇〇野郎!」「じ、自分で解決できたんだからいいじゃねーか!ないですか!」


あ、しゃべっちまった。会話が成立すると思われると、ややこしい事になりそうな気が。
「口ごたえすんじゃねぇよ、服代弁償しやがれ」

何とか言えっつったじゃん!(泣)

「洋服代ならそこの倒れてる奴らから盗ればよろしいのではないでしょうか」

「足・り・ね・ぇ・ん・だ・よ!」


俺の襟首を掴んで締め上げる様は、とても先刻か弱く助けを求めていたとは思えない。


俺は一応もがいて抵抗し、さらに締め上げられたので、大人しく手を上着の内ポケットに突っ込んで、財布を取り出した。
彼女は満足そうに口の端を吊り上げ、それを奪い取った。

中身を確認し、
「チッ、これっぽっちかよ。まあいい」
と、中の紙幣を取り出し、空になった財布を放り投げた。

軽くなった自分の財布をキャッチしながら俺は、自由になれてよかったと、人生前向きに生きることにする。





彼女はそれきり、顔に傷のある男に興味をなくし、その場を後にした。
歩きながら今回の稼ぎを数え、金の遣い道について、ひとしきり妄想した後、ある異常に気づいた。
「…無え」




俺は女物の赤い財布を開けて、思わずため息をついてしまった。
カツアゲなんかやってる女の物だから、巻き上げた金が入っているかと思いきや、子供の小遣い程しか入っていない。

「あいつ、必死だったんだなー」

締め上げられた時に、相手があんまり油断し切っていたから、つい手がでてしまったが、これでは結局大赤字だ。

「とりあえず、」

逃げるか。

俺は女が戻って来る前に、その場を離れた。


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