こんな噂知ってますか-----???
ｳｨｰﾝ郊外から少し外れた街に
まだ若い女が赤ん坊と一緒に
暮らしていた。
女は1年前に夫を病気で
亡くしていた未亡人だった。
そんな女にとっては赤ん坊は
何よりも大事で、もちろん、
自分の命よりも大事だった。
赤ん坊はユーノと言った。
古代ｷﾞﾘｼｬ神話に出て来る、
女神、ﾕｰﾉﾗｽから取ったという。
明くる日の事。
街ではソロモンという
たいへん当たるという噂の
老人占い師がやってきていた。
女はそこへ
赤ん坊を連れてやってきた。
ソロモンは赤ん坊を見るなり、
こう言った。
「この赤ん坊には、
Deadzoneが見える……」
Deadzone。つまり死相の事だ。
女は、いくら当たると評判の
占い師でもこれは嘘だと
心に誓った。
しかし、女に暗黒の影が
押し迫っていた………………。
ｳｨｰﾝにも冬が来た。
雪が積もり、まるでﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞの
ように煌めく雪だった。
ある日女は買い物に出掛けた。
その日はめでたく赤ん坊の
1歳の誕生日で、女は
腕を振るって美味しいご馳走を
作ろうと考えていた。
「何にしようかしら。
やっぱりユーノの好きな
お野菜をふんだんに使った
料理にしようかしら????」
女は嬉しかった。
今まで一人で育てて来た
赤ん坊がここまで大きく
成長してくれていた事に。
女が家に帰ると、玄関先で
なんだか血生臭い臭いがした。
その時、ソロモンに言われた
言葉が脳裏をよぎった。
赤ん坊。Deadzone。 死相。
「ユーノ!!!!!!!!!!!!」
急いで部屋に入るとそこは
まるで血の海だった。
赤ん坊が死んでいた。
犯人は逃げた後だった。
無数の血のついた手形が壁に
張り付いていた。
そこから推測するには犯人は
二人組だというｺﾄが判明した。
女は叫んだ。
「殺してやる……。
私の子供を返せ………。」
事件の3ｹ月後、女は自殺した。
近所の噂によると、
子供を殺されたせいで
ノイローゼになり、
自殺したと。
事件8年後。
もうすっかり事件の事は
忘れ去られていた。
しかし、ある二人組の少女が
あの事件のあった家に
肝試しだと言い、足を
踏み入れてしまう事になる…。
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