恋をしたことはある。
だけどこんなに心奪われる恋は初めてだった。
そしてぬくもりを知ったのも初めてだった。
隣にいた圭吾が優しく
「こっちにおいで」
と私を引き寄せた。
テレビどころじゃない。
いつもは大好きなお笑いも今日のテレビは灯りぐらいにしか感じない。
こんなことってあるんだ。
圭吾は私を後ろから抱きしめて耳元でささやく
「奏、…」
ドキドキが半端ない。
死んじゃうかもしれない。
「…はぃ…」
ふりしぼって答える私。
「好きだよ」
もう無理!!無理!!倒れる!!
「顔、真っ赤だけど」
いたずらっ子みたいに笑う
「そうさせてるのは誰よ」
私はもう半泣き状態。
圭吾がいきなりテレビのスイッチを切った。
「あっちにいこう」
そういって私の手を引いて寝室へ。
ベッドに腰掛けた圭吾は
「俺が怖い?」
と真っすぐな瞳で見る。
つったってる私はそんなことないとブルブルと首をふるぐらいしかできない。
「初めて会った日もここだったな」
懐かしそうにつぶやく圭吾がとても愛しい。
「圭吾が好き」
そう言って圭吾を抱き締めた。圭吾は私を抱き締め
「このまま寝ようか」
私は何も言わなかった。
私は圭吾に抱き締められたまま朝を迎えた。