「やっと正体を現しやがったか」
「大人しくその不死鳥の頭を返してもらおうかのー」
老人は鎌を両手に構えた。タクトの柄を握る手にも力が入る。
「嫌よ」
「そうか、ならば・・・」
老人はこちらに向かって走ってきた。
「二人共、目を瞑って!」
パールの声が聞こえたかと思うと突然辺りが激しく光り出した。
「閃光弾か」
老人は目を瞑らなかったようだ。 「今よ!柱に隠れて!」
老人が目を開けた時にはもう既に三人の姿は無かった。
「隠れたのかのー。また小細工をしおって」
老人はその巨大な鎌を持ちながら三人を探す為、ゆっくり歩き始めた。
「出てこーい」
老人は鎌で柱を壊し始めた。
「おーい、時間の問題じゃぞー」
老人は順番に柱を壊して行く。その五つ先にはタクトがいた。
「いつになったら出てくるんじゃー」
一つ、二つと柱は壊されていく。そして、次がタクトの柱になった。
「こっちよ!」
いきなり左から弓矢が飛んできて、老人の頬を霞めた。
「惜しかったのー」
老人は左の方へ走って行った。パールは柱六つ分離れていた。
「俺のことを忘れるな」
老人が走っていたら急に三つ目の柱からウェドがハンマーを構えて飛び出してきた。
「まだまだじゃの」
老人がひらりと身を翻し
、鎌でウェドを切りつけようとした。
「待て!」
タクトが後ろから老人に襲い掛かった。老人は切りつけようとした鎌でタクトの攻撃を防いだ。
「だから、俺を、忘れんなー!」
ウェドはハンマーで老人の腹を叩き突けた。
「うっ・・・」
ハンマーは計り知れない衝撃を老人に与えた。
「ふ、ふざけおって、わしを甘く見るんじゃないぞ」
老人は倒れるように鎌でウェドの頭を切りつける。
「危ない!」
パールが弓矢で鎌の向きを変えたお陰で、頭への直撃は避けたが、右肩を切りつけられた。
「大丈夫か?ウェド!」
老人はその場に倒れた。「よ、弱ぇな。あんなので、も、もう終わりかよ・・・」
ウェドも右肩を押さえながら倒れた。
「大丈夫?ウェド」
パールが走ってきた。
「すぐに手当てをしないと!」
パールは薬草と布切れを取り出し、手早く応急処置をした。
「パールは何でも持ってるんだね」
「ホースと離れる時に持ってきたのよ。良かった。持ってきていて」