透は反省し、冷静に起こったことを話した。
透「正直、信じてくれないかもしれないけど、本当なんだアー……」
アーシェ「アーシェ、アーサーって呼び名は嫌いなの。だからアーシェって呼んで」
透「ご、ごめん。わかったよ、アーシェ」
アーシェ「それと、正直信じられないんだけど、信じるしか出来ないのよね。恐らく、貴方は異世界から飛ばされたんだと思うわ。その鍵で…」
透「ま、待ってよ!? どうして信じられるんだよ!? こんな突拍子もない話を!!」
アーシェ「………どうしてですって? 貴方は……ええと、まだ名前を聞いてなかったわね。教えてくれるかしら、貴方の名前を」
透「あ、ごめん… 僕は、僕の名前は天道 透。よろしく、アーシェ」
アーシェ「よろしく。それと、透でいいかしら? 透、どうして私が貴方を信じるか………いいえ、違うわ。私は透のことを信じてるんじゃあないの。正確には、知っていたの。透がここに現れるのを」
透「知っていた? どういうこと? じゃあ、どうして僕がここに来たのか知ってるの!?」
アーシェ「落ち着いて、残念ながら透がどうして此処に来たのかは分からないわ。ただ、私は此処に何者かが現れることを知っていたの」
透「そんな………有り得ないよ、予知能力が有るわけじゃないのに……信じられないよ」
アーシェ「ええ、そうね。確かに私には予知能力なんか持っていないけれど、それに近いことが出来る妖精が私に教えてくれたの。この森に異なる世界のものが現れる、と……。勿論、その妖精は信頼出来る方よ」
透「妖精って………、そんな馬鹿な話が……………っ!?」透は改めて気付いた。この世界はやはり自分の世界とは違うのだと。そしてこの世界は恐らく−−
透「ねえ、アーシェ。その妖精ってまさか……湖の乙女って呼ばれてない?」透は恐る恐る尋ねた。
アーシェ「ええ、って知ってるの!?」アーシェは驚いた顔で透を見た。
透「………やっぱり……」透は確信した。この世界は自分が知ってる世界だと−−
そう、この世界は伝説の−−アーサー王物語の世界だと。