アーサー王物語−−それは、有名な話だ。かのエクスカリバーの話はもちろん、円卓の騎士の話もこれがそうだ。
透は大まかな話は知っているが、はたして本当に、この世界が自分の知っているアーサー王物語と同じなのか、今だ確信が持てずいた。無論、同じだからどうということも出来るわけではないということは、心の中で十分承知していた。だから透は思いきってアーシェに頼むことにした。
透「ねえ、アーシェ。僕を君と一緒に連れてってくれないかな? も、もちろん君の邪魔なんかしないさ!! ただ、ここは僕の知らない世界だし、これからどうすればいいのか全く分からないんだ……だから、元の世界に戻る為にも君と一緒に行きたいんだ。それに一人だと正直、不安だし………」透は頭を下げていた。本当にどうすればいいのか分からなかったからだ。
アーシェ「…………正直、一緒に来るのは構わないわ………ただ、お勧めはしないわ。貴方はまだこの世界のことを十分に理解していないのだから……」
透「それって……どういう……?」透は訳が分からず、聞き返そうとした。
しかし−−ある者の声で打ち消された。
???「アーシェ様〜〜、見つけましたよ〜」
高い声で、どこと無く和やかなイメージを持つ女の子が森からやってきた。
アーシェ「ベティ、どうしたの?」
???「どうしたの、じゃあ、ありませんよ。急に森の奥に行ってしまうんですから……もう!心配したんですよ……ただでさえ物騒なんですから、一人で行くなんて軽率ですよ……あ、あら?こちらの方は?」
アーシェ「すまなかった、ベティ。こちらは天道 透、いろいろと事情があってな、詳しくはまた後で言うわ。それと透、この人はベティ、正式にはベディヴィエール。私達はベティと呼んでいるがな」
ベティ「ベティです。よろしくね、透さん」ベティはそういって一礼をした。
透は驚いていた。この人の人柄よりも目を背けられないあることに目を奪われていたからだ。それは、なんと彼女の左腕がないのだ。右腕一本しかないのだ。しかし透は彼女と目が合うと、すぐに目を反らし、気を取り直してしっかりと挨拶をした。
透「天道 透です。よろしく、ベティ」透は微笑んだ。