五時限目―\r
昼食も、喉を通らなかった。淳も、親友の茉莉子や他の友達も、私の前には現れ無くなった。
保健体育の授業―\r
体育館でバレーボール。隣で、男子もバレーボールをしていた。淳も隣に居た。
頭は、相変わらず、真っ白だった。そう意識すれば、また昨日の事が、頭を霞めた。
バレーボールのコートの端で、つったって居た。
急に、目眩が襲って来た。足元に、しゃがみ込んでしまった。
「香里、大丈夫?」
茉莉子と、もう一人の親友、麗華が駆け寄って来た。
「う、うん・・・。」
返事は、何とか返せたが、足元は、おぼつかない。
「顔、真っ青だよ?大丈夫じゃ無いじゃん!」
麗華は、私の顔を覗き込んだ。
「朝から、香里、こんな感じだったの。保健室に行こ、ね?」
茉莉子は、私の腕を掴んで、体育館の出口の方へ連れて出ようとした。
「香里・・・。」
淳の視線を感じた。不意に、淳の方へ目をやると、心配そうな眼差しで、こちらを見ていた。
茉莉子と麗華が、保健室へ連れて行ってくれた。
「貧血かしらね?ご飯はちゃんと食べた?熱は無いみたいね・・・。いつから、調子悪いの?」
保健室の先生は、私に優しく聞いた。
「昨日からです・・・。お昼は食べれ無くて。」
「ちょっと、ベットで休みなさい。楽になったら、授業に戻るのよ。」
保健室なんて、普段は殆んど行く事が無かった。眠れる筈も無く、ただベットで、天井を見て、無になっていた。
六時限目前の十分休憩―\r
「先生、香里来てますか?」
白い無機質な、カーテンの向こうで、淳の声がした。
淳にどんな顔を見せれば良いんだろう?
辛くなるだけだから、今は、顔を出来れば見たく無かった。
淳は、何も知らない。
でも、昨日の事は話せない。
先生が、淳を突き返してくれる事だけを期待していた。