『肉塊』

白烏  2008-10-06投稿
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そして俺は、物言わぬただの『肉塊』になった……

あれは……昨日の塾での事だった……

「……次、藤崎 草介ェ。」
「ふぁい……」

俺は先公の言葉に返事した。
全く……
この眠い時に話しかけんなよな……

「……以上だ。じゃあ授業を始める。気をつけェ、礼ィ。」
「宜しくお願いします。」

周りの奴等が丁寧に言うと、前にいるウザい先公こと渋谷(しぶたに)は授業を始めた。

「かったりぃなぁ……」

俺が思わず本音を漏らすと、すかさず渋谷が反応してきた。

「かったるいか?出ていっても良いぞぉ。」

地獄耳が……

「ふん、まあ良い。授業を始める。教科書の39ページを開けェ。」

面倒くせ……
俺はそう思いつつも、気だるいながらも教科書を開いた。

「……以上で終わりだ。きちんとやっとけよぉ。それから藤崎ィ、ちょい残れ。」
「はいはい……」

何で残されんだよ……
俺が納得いかない顔をしていると、渋谷は俺に近づいてきた。

「何で残されたか疑問か?お前は最近、やる気がねぇんだよ。宿題もやって来ねぇし。親から何習ったんだ?あぁ?」

プチン……

俺の中で、何かがキレる音がした。

「んだと……」
「何だ?文句があるのか?あ?お前がやって来ねぇのが悪ぃんだろが。全く……息子がこれだと、親も知れてるな。」
「もう一辺言ってみやがれええぇぇぇえええええええぇぇぇぇ!!!!」

気付いたら、殴ってた。
今日は特別にむしゃくしゃしてたとか、そんなんじゃない。

本当に、『気付いたら』やっていたのだ。

拳が顔に当たる生々しい音が、教室内に何度も響いた。

「おっ……やはっ……!!かあっ……さんはっ……とっ……うさんはっ!!……あああぁぁぁぁぁああぁあぁぁああ!!!!」

周りの奴等が俺を止めるが、俺はそんな事では止まらない。

殺してやる

ころしてやる

コロシテヤル

俺の中には黒い感情が渦巻いていた。

「やっ、やめろ藤崎ィ!!先生をっ……他の先生を呼んでこいっ!!」
「ああああああああああああああああ!!!!離せっ……離せぇぇぇええええぇえええぇええ!!!!」

狂った様に殴り続ける俺を、皆は必死になって止めた……



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