突然の撤退命令を受けた二人の心境は複雑で合った。副司令官という、少なくとも最高幹部にある彼らにとっては。
紅龍『ここを放棄するのか?戦わずして敵に明け渡すとはな・・・』
兵士『いえ、ここ一帯を吹き飛ばし、その後占拠するとの事です』
紅龍『なら始めからそうすればよかったんだ!』
スウォーティー『無傷で手に入れたいと考えてたんだろ?』
紅龍『・・・・』
スウォーティー『ちょっくら出掛けてくる』
兵士『どちらへ?』
スウォーティーは笑みを浮かべて言った。
『すぐに戻る』
紅龍は分かっていた。これから何をしでかすのか。止める気など毛頭ない。
気が付けば、既にジャングルの奥に消えていた。
紅龍は兵士にこう伝えた。『迎えのヘリをすぐ来させるよう、本部に伝えろ!』兵士『了解しました。』
最悪のケースを考えていたのだ。
次の瞬間、ジャングルの奥地で爆音がした。数百メートル先ではあるが、鮮明に聞こえる爆音と高く上がった煙に、シャドーの兵士は驚きとともに、気持ちが高ぶっていくのが分かった。長らく忘れていた感情であった。
紅龍『派手にやらかしてるな。』
そう言って紅龍も奥へと消えて行った。