「来てるわよ・・・。貧血みたいね、熱も無いみたいだし。」
先生は、心配して保健室に来た淳にそう告げた。
次の瞬間、淳はベットを仕切っている白いカーテンを開けた。
私の姿を確認するか、しないかの瞬間に声を掛けた。
「香里、具合どうなんだよ?貧血だって?柄じゃねぇじゃん、少しは良くなったか?」
返す言葉を、瞬間に考えたが、出て来なかった。淳に顔を見せたく無くて、顔を背けて、寝た振りをした。
淳が、掛け布団をめくって、私の背中を右手で擦った。
「嫌っ!!止めて!!」
昨日の事と、一瞬重なってしまった。男性に触れられる事に、身体が拒絶反応を示してした。
「何だよ、心配して来てやったのに・・・。お前、朝から変だよ、何か有ったのか?」
淳の言葉に我に返り、自分を取り戻した。
「何でも無いの・・・。昨日の夜から、少し具合が悪いだけ、心配しないで・・・。」
「そうか・・・、あの、日帰り旅行の話だけどさぁ・・・。」
淳が、話を続ける前に、遮ってしまいたかった。
「また、考えとくから・・・。今はそっとしておいて。ゴメンね・・・。」
気持ちが落ち着くまで、淳には、いつも通り接する事は、出来そうに無かった。
「分かったよ・・・。あんま、無理すんなよ。心配だから見に来てやっただけだしよ。」
「ありがと、今日は、一人で帰るね・・・。」
「家まで、送ってってやるよ。」
「ううん、良い。大丈夫だから。」
淳は、無言で保健室を去って行った。明らかに、いつもと違う空気を感じて。辛かった、本当に―\r