奈央と出会えたから。<241>

麻呂  2008-10-07投稿
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* * * * * *

春休みになってから、



あたしは、ずっと絵を描いていた。



もう直ぐ聖人の誕生日。



プレゼントどうしよう。



そう考えてたトキに思いついたんだ。



絵をプレゼントしようって。



ねぇ‥聖人。



あたしの絵を初めて褒めてくれたヒト。


――“これは凄い才能じゃん?!俺なんて絵の才能全く無しだぜ?!――”



あはは‥‥。



絵を描きながら、



夏休みに初めて聖人に会った時のコトを、



あたしは思い出していた。



あたしの絵は、



パステルでスケッチブックに好きなモノを描くといった程度の、



簡単なスケッチでしかなかったのに。



なのに聖人。



あなたは、何時もあたしの絵を褒めてくれたよね。



――“おっ!!すげぇ‥。木下。やっぱお前は絵の才能あるって!!”――



そんなコト言ってくれたのは、



あなただけでした。


もう直ぐ春だね。



聖人が生まれたのは3月26日――



あたしが生まれたのは5月1日――



あたし達って、



同じ春に生まれたんだね。



あたしより、



学年が2コ上の聖人だけど、



聖人は早生まれだから、



あたしとは、年は1コしか違わないんだね。



あなたの――



“大きな心”が好きです――



あなたの――



“あたたかさ”が好きです――



あなたの――



“少し照れた様な笑顔”が好きです――


あなたの――



“怒った顔”は、ちょっとコワイケド――



そんな、



あなたが大好きです――





あなたの全てが知りたい――



聖人のコト、



大好きだからっっ。


好きすぎて、



大好きすぎて、



たまんないよっっ。




パステルを滑らせる手が震えた。



何故か涙がじわりと浮かんだ。



ねぇ‥聖人。



好きなヒトの顔を描くのって難しいよ。


何時も見ている筈の大好きなヒトの顔を描くのが、



何故が1番難しかった。



――“ん―。やっぱ木下の将来はアーチストか?!”――



あなたとのコトを思いながら――



あたしは、あなたを描き続けた――



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