仕方なく一番安い、ベッドだけを提供してくれる宿屋に泊まることになった四人は夕食のあと今後についての会議を開いていた。
「いきなり押し掛けて三種の神器について教えてくださーい、なんて言えるか?」いつもなら情報屋で手配してもらうのだが島ではそうはいかない。
だからお陰で寝る間を惜しんでの会議を開いている訳なのだ。
「クラーン島…意外と厄介なのね。」
「あのぅ…。今、クラーン島って言いました?」
四人が考えこんでいるとランスォールの後ろで娘が四人を覗きこむようにして立っていた。
「ん?言ったけど…?」
「その、何かお困りのようなら私がお手伝いしましょうか?
私、クラーン島に住んでるリリーラって言います。」手詰まりの時に現れた思わぬ助っ人。しかも目的のクラーン島の住人だという。これはお願いしない手はない。
「ぜ「ぜひっ!お願いします!!」
シーラの声に掻き消されたラウフの言葉はしばらく彼の中で木霊していた。
クラーン島までの間、リリーラを加え五人になった一行は翌日にアルセスカを出る、と決め眠りについた。