ウィルは周りを見渡す。見慣れた警察署内の小さな救護室。時計と鏡、薄汚れた窓。ここは確かに今を生きる、ウィルの仕事場だった。
「はあ、・・・はあ、はあ・・・」
息は依然として落ち着かない。
ドタドタッ
さっきまでそばで寝ていたと思っていたメレディスが勢いよく部屋のドアを開けた。
「ウィル!?」
ウィルの声がメレディスの耳にまで届いたのだろう。大げさなくらい、不安な顔をしていた。
「はあ、・・・・はあ」
未だに高鳴る心臓のおかげで、ウィルは“ああ、メレディスか”の一言を言うことができなかった。
「すごい汗!今拭いてあげる。」
まるで重病にでもかかったかのような心配のされようだ。いつもなら厳しいメレディスは、母親のように優しく、変な感じだった。
「はあ・・・・はぁ・・・メレディス・・・・」
心臓がようやく落ち着きを取り戻そうとしていた。
「なに?」
「いや、ありがとうって言おうと思って・・・。」
「な、なに言ってんの。困った時はお互い様よ!」
気のせいか、メレディスの頬がリンゴ色に染まっているように見えた。
「にしてもさっきの叫び声はなんだったの?しかもこの汗!」
「悪い夢を見てさ。」