「ぶはぁっ・・・!!」
龍一は止めていた息を一気に吐き出した。
「はぁ、はぁ・・・」
息はきれ、心臓は音を鳴らして拍動した。
(あぶなかったぁ・・・)よろよろと立ち上がり、時計を見る。
あと、三分。
(はやくしねぇと。)
龍一は音をたてないよう走った。病院のドアを押し開けると、100?程先に正門が見えた。急いで正門まで回りを警戒しながら走る。(よし・・・)
辺りに、人気はない。
走りながら、龍一はあることを考えていた。
『殺してるんじゃないかしら?』
なぜ、あの言葉に反応してしまったのだろうか。
(俺はアキラを殺してなんかいねぇ!)
確かに、真実はそうである。
しかし、龍一にそれを証明するすべはない。世間では龍一はただの人殺しなのだ。
(くそ・・・)
そう思うと、足が遅くなった。
(・・・警察だってバカじゃないはずだ・・・。ちゃんと話せば・・・解ってくれるんじゃないか・・・?)
龍一は戸惑った。
せわしなく動いていた足は、いつのまにかゆっくりとなっていた。
(人殺しなんて呼ばれたくない・・・話せばちゃんと解ってくれる・・・。)
そんなことばかりが頭をよぎる。
そして・・・龍一の足は、完全に止まった。