「腰周りが…何かしら?」アリネスはそれを聞いて、にこにこと笑いながら、腰に提げた剣の柄に手を掛けた。
「いえ、何でも…それでは失礼します」
リグラはそれを見て冷や汗をかきながら、そそくさとアリネスの部屋から出て行った。
「だあっ!」
「はっ!」
「…あら?」
ドレスから戦闘衣装に着替えて訓練所に現れたアリネスは、ルイスが知らない女性と剣を交えているのを見て、不思議そうな顔をした。
「あ、アリネス様!」
「アリネス様!」
アリネスの姿を見た騎士達は一斉に片膝をついて、頭を下げた。
「今日は訓練に来たのです。貴方達は私に構わずに訓練を続けなさい。そして、国の為、また国民の為にその成果を存分に発揮しなさい」
アリネスはにっこりと笑って、騎士達を励ました。
「アリネス様…もったいないお言葉です…」
騎士達は感激の表情を浮かべ、もう一度深く頭を下げると、訓練の続きを行う為に立ち上がった。
「あ…アリネス様、訓練所を使う事を許可して頂き、どうもありがとうございました」
ロイはその光景にしばし見入っていたが、我に返ると、慌ててアリネスに向かって頭を下げた。
「いいのよ。それより、そちらの二人が君の従姉妹なのね?」