「船の手配はできてますから後は乗り込むだけです」島の住人がなんでアルセスカにいるの聞くとリリーラは日常品を買い求めアルセスカに来た、と話してくれた。
何でも島では良いものは手に入らないんだとか。
ちらほらと話をしているとアルセスカ港に着いた。
しかし、何だか港の様子がおかしい。
「あの人だかりは何だ?
行ってみよう。」
野次馬たちはある船を見物しているらしく、聞いてみるとなんと船はクラーン島行きだとわかった。
「一体何なんだ?」
「あの、何かあったんですか?」
野次馬の男が答える。
「いやぁ、クラーン行きの船を男が占拠してるんだ」野次馬の話では頬に大きな傷のある若い男だと言う。「頬に大きな傷…」
そう言ってリリーラは考え込んでしまった。
「リリーラ?」
ランスォールが名を呼ぶとリリーラははっとして顔を上げた。
「…まさか!!」
「な、何?どうしたの?」
「リリーラさん?」
突然、野次馬の人垣を掻き分けリリーラが進み始めた。
そして軽やかに跳ぶと船の中に姿を消してしまった。
「と、とにかく追いかけた方が良くないか?」
ランスォールたちも人垣を掻き分けリリーラの消えた船の中へ入って行った。