「リリーラ?リリーラ!」
リリーラの名を呼びながら船内を探す。
客室が20部屋とそこそこ広い船をくまなく調べた。「リリーラ、何だか様子がおかしかったわ。」
「そうですね。目の色が変わったというか、何かに気づいたというか…」
船内を捜索しながらシーラと雪がそんな話をしているとランスォールに怒られた。
「二人とも、しゃべってないで探してくれ」
「はいはい。」
だけど、あの時の彼女の様子は…
やがて船の奥でリリーラを発見した。
リリーラは頬に大きな傷のある青年と向かい合う形で立っている。
「リリーラ!」
ラウフが呼んだがその声は彼女には届いていない。
「港で頬に大きな傷のある青年が船を占拠していると聞いたわ。
まさかと思えばやっぱりあなただったのね、レンデル?」
今度はレンデルと呼ばれた青年が言う。
「ああ、そうさ。」
「どうしてこんな…」
リリーラが悲しそうに言うとレンデルは躊躇うように視線を泳がせた。
「……が………から。」
小さく口の中でぼそぼそしゃべっていたのでリリーラにはほとんど聞こえなかったようだ。
「え?何?」
「うるせぇっ!お前はさっさと嫁にでも何でもいっちまえ!」
レンデルは言葉を吐き捨てるとリリーラとすれ違いに部屋を出た。
「「なるほど…」」
一部始終を目撃していたシーラと雪は納得したようにそう言った。