タクトはその場に膝から崩れ落ちた。
「大丈夫かー」
後ろの方からウェドとパールの叫び声が聞こえる。
「凄いな。ふらふらしてたのに凄い速さだったぞ。どうしてだ?」
タクト自身分からなかった。地面に足がついたのはたったの数回だけだったからだ。
「分からない。おかしいんだ」
倒れたままで弱々しく答えた。
「でも、火事場の馬鹿力でなんとかなったんじゃないの」
本当にそうなのだろうか
あんなボロボロの体で・・・タクトは心の中で思った。
「とにかく俺の家に来い」
左肩にタクトを担ぐと扉の方へ歩いて行った。
ルパス城
「おーい、サーブ、悪い知らせがあるんだが、聞きたいか?」
大男は椅子に座っている少女に話しかけた。
「忙しいけど聞いてあげる。何?」
「お前の造ったR11の一人が消えた。名前は『鎌鼬』」
「まだ十人いるわ」
少女はあまり驚かなかったようだ。
「お前の発明品、また破られたな」
その時、彼らの前に突然黒い煙が立ち込めた。
「ウィッチかしら?」
「やぁ、元気そうだね。サーブとドレー」
黒い煙から出てきたのは黒い服を着て、黒い帽子を被ったいかにも魔女といった風貌の老婆だった。
「どうやらパラスをなめ過ぎていたようだねー」
「まだサソリと鎌鼬だけよ」
サーブは不機嫌に答えた。
「そうかいそうかい、精々全滅しないことを祈るんだねー」
「それより、何しに来たの」
棘のある口調で切り返した。
「なーに、困っとる様だから助けに来てやったのさ。それより、国王陛下にはまだ言わないつもりかい?」
「国王には報告しないわ」
「そうかいそうかい、我ら『三幹部』だけで解決しようと言うのかい」
ウィッチは嬉しそうだ。「おい、サーブ、国王に報告しなくても警戒はしておかないと駄目だぞ」
「警戒?そんなのも要りません。ただ、ちょっと運が悪いだけよ」
少し間を置いて再び話し出した。
「それより、そろそろ『魔導師の村』を制圧したいと思います。『魔導師の村』には私の発明品を送りますが、ドレーさんは意見がありますか?」
ドレーは黙って首を左右に振った。 サーブは気持ちを切り替える為やけに丁寧な口調を使っている。
「ウィッチさんは?」
「私は自分で作ったモンスターでも送っておくよ」
「了解しました」