アーサー王物語の世界、どうやらこの世界はそんな伝説の世界の所らしい。………とは言っても透はアーサー王の話など、詳しくは知らない。だから、円卓の騎士の名前なんてほとんど知らないのだ。
ベティ「……あ、アーシェ様、トリスにガヴェ、イヴァにカレンそしてマーリーがキャメロット城に無事、到着しました。皆さんアーシェ様の帰りをお待ちしてます。早く、城に戻りましょう。透さん、あなたも家に急いで帰ったほうがいいですよ。家の方が心配しているはずでしょうし、あまり外に出ないほうがよろしいかと思います」
アーシェ「……マーリーが来たのか………なら……そのことだがベティ、透も城に連れていこうと思う」
ベティ&透「なっ!?」いきなりのことで透とベティは驚いた。
ベティ「なっ!何を言ってるんです!? 関係のない者を城に連れて行くなんて! 何を考えてるんですか!」
アーシェ「………聞いてくれ、ベティ。透は、以前妖精から予言された、異なる世界からやって来た人だ」
ベティ「!?ま、まさか!?」ベティが驚いて透の顔を見る。透はいきなりのことで顔を背けてしまった。
ベティ「で、ですが異世界の人がいることでどうにかなる、とは妖精は言ってないのですし……」
アーシェ「ベティ、私はどうにかなると思う。そうでなければ、彼女−妖精の最期の言葉として私に告げたその意味が分からない」アーシェは真剣な瞳でベティの目を見つめた。
ベティ「……分かりました。それでは……」そう応えてベティは透に向いた。
ベティ「透さん、道中、あなたの安全は私が守ります。ついて来てくださいね」そう言って透に微笑んだ。
透「…………はっ!? いやいや、待ってよ! どういうことだよ!? アーシェ、さっき君はついて来るのはお勧めしないとか言ってなかった!? それに、さっきから何を言ってるのか全く分からないよ!! いったいこの世界は何が起きてるの!?」透はほとんど叫びながら応えていた。
アーシェ「……それは……いや、とりあえずは城についてから話そう、ついて来てくれ」
透「……なっ!? いきなりついて来いなんて、ごまかさないで答えてよ!」
アーシェ「…一緒に来たいのではなかったのか? それとも此処に残る?」
その一言で透は黙り、大人しくついて行くことにした。