｢なんかあの人怖いな‥｣あたしはそんなふうに一見言われることになれていた…尚に見透かされる前までは。
出会いは患者とナースというよくある立場であって、特別にあたしは関心があった訳でもなく、いつもの仕事をしていただけだ。
意識しだしたのは尚がオペをした後に体の動かしようのない時期に尚の《彼女らしき》人からクレームがあった時からだった。
｢すいません。今から患者さんのお身体を拭きますので、お呼びするまで待合室でお待ち下さい｣アタシとしては何時も通りの手続きの話として会話したはずが、《彼女らしき》人のプライドなのか、その時は軽く会釈してぷいと席を外したはずなのにその後が悪かった｡婦長から呼び出され、｢行き過ぎた感情で仕事をしてはいないかしら？｣と一枚の紙をアタシに示した…病院の苦情用紙のコピーだった。
《西8病棟のy看護婦は患者さんにセクハラをしています。年増なのにみっともないです。なんとかしていただけませんか？》
｢勝子さん、アナタは真面目な仕事をしてるって私は評価してるのよ‥だけどね誤解を受けるような熱心さがあるとしたら、アナタにも注意する点がないとも言えないでしょ…？｣婦長の話を半ばにあたしの怒りが支配した。
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