三日後、卒業式―\r
いつも通りの道を、駅から歩いて学校の門の前に着いた。快晴の空は、とても青かった。雲一つ無い、空を見上げて、入学式の日の事を思い出していた。
入学式・・・。その日は、淳と初めて逢った日だった―\r
幼稚園からエスカレーターで上がる生徒が殆んどの、この学校に、高校から入学する事になった私は、知らない人ばかりで、不安だらけだった。
母と校門をくぐり、私は、周りをキョロキョロと見回していたその時・・・。
「ゴ、ゴメンっ・・・。大丈夫?」
凄い勢いで、私にぶつかって来た男の子が居た。淳だった。
「はい・・・。大丈夫です。」
飛んで行ってしまいそうな勢いで、知らない人に突然ぶつかって来られて、固まってしまった。
「見ない顔だけど・・・。高校からの人?」
「はい・・・。」
「そうなんだ〜。同じクラスになれるかどうか分かんないけど・・・、俺、山上淳って言うの、宜しくな。」
「はぁ・・・。」
私の名前も聞かずに、淳は、とても急いだ様子で、校舎の方へ走り去って行った。
「変わった子ねぇ・・・。」
母は、私に笑って言った。
「ほんとだね。でも、感じの良い子だったし、ちょっと不安が溶けたかも・・・。」
桜の花びらが散り行く中、私と母は、学校の体育館へと急いだ。
淳は、小学校からずっとこの学校に通っていた。結局、淳とは同じクラスになり、何もこの学校の事を知らない私に、色々と教えてくれた。
「色んな事が有ったよな・・・。」
校門の前で立ち止まったまんま、三年間の事を頭の中で、順番に振り返っていた。
淳と麗華は、小学校から一緒で、元々、仲が良かった。私と、もう一人の親友、茉莉子は、高校からこの学校に入学した。暫くして、四人で固まるグループになった。
一緒に、駅前で寄り道したり、花火を見に行ったり、渋谷に遊びに行ったり、買い物に行ったりした。
明日からは、皆、別々の道を歩き出す・・・。淳とも、毎日学校で逢って、当たり前だったのに。淳が、より遠くなって行く―\r
「おいっ!何、ぼ〜っとつっ立ってんだよ・・・。」
後ろから、淳の声がした。
「びっくりした・・・。」
「こんな所に、ボサっと立ってっと、また、激突しちゃうじゃん、入学式の日みたくさ。」
一気に、胸から熱い物が込み上げて来た。親友としてだけじゃ無い、淳の事が今でも変わらず好きだった―\r