歩き始めて十分。
漸く俺達は、軍部の門前に辿り着いた。
「遂にここ迄来たな…」
「そうですね」
「思えば長く苦しい戦いだった…」
「戦った覚え欠片もありませんが…」
「いや、何となく言ってみたかっただけだ」
「ああ、そうですか」
そんな事を言いながら何気なく表札を見る。
東方軍第十七支部。
…ホント、何度見ても味もそっけもない名前だよな。
「ああっ…、誠さん元気してたかなー!ねっねっ、早く入ろうよ!」
麻衣が待ちきれない様子で言う。
「そう焦るなよ、そんなに急がなくても誠さんは逃げないぞ」
「分かってるけどさ、待ちきれないんだもん!私先入ってるね!」
と言って麻衣は受け付けの下に向かって走りだした。
元気だなー。
…さて。
「俺達も行きましょうか、先生」
「…」
「先生?」
「………」
「?」
先生がボソボソと何かを言っている。
耳を澄ませる。
「――逃げちゃダメなんだ逃げても何にもならないんだ逃げて蔑ろにしちゃダメなんだ逃げて現実逃避し続けちゃダメなんだ逃げて――」
…何事?
「…えーと、先生?」
「んだ――んっ、ああ悪い聞いてなかった。何だ?」
「あの、どう「ねぇ!早くー!」
続