「誠さんもお変わりなさそうで」
「うん、まあね。ああ、そうそう、これ約束の」
と言って誠さんは小さな袋を手渡してくれた。
「あの、これってもしかして…」
「そ、煎茶。いやー手に入れるの苦労したよ。何だか知らないけど中央でこれ急に人気になっててさ」
「すいません、わざわざ買ってきてもらちゃって」
「ああぁ!お兄ちゃんずるい!」
「あはは、大丈夫だよ。麻衣ちゃんにはこれ、はい」
「えっ?…わー!紅牡丹のティーバッグだ!有難う誠さん!」
「いえいえ、どう致しまして――それと」
若干笑顔を曇らせて誠さんは先生を見た。
「えと…お久しぶりです。嶂岸先生」
「あ、ああ…。久しぶり…だな、柊…」
そうしてお互いに強ばった笑みを浮かべる二人。
…えと、何ですかこのとっても居づらい空気は。
「…ごめん、ちょっと二人に頼みたい事があるんだけど良いかな?」
「え、ああ、良いですよ。何ですか?」
「うん、この書類なんだけどさ、これを受け付けの人に渡してきて欲しいんだ」
「はい、わかりました。でもこれだけなら俺一人でも…」
「後これお使い料。これでジュースでも買ってきていいから。じゃ、いってらっしゃい!」
続