なんとかナオを落ち着かせると押し入れから籠を取り出しユウキの目の前に置いた。
ナオの時と同じくしばらくの沈黙が流れる。
「…これ本当に本物?」
「ケチつけんのか?ちゃんとくびれがあるだろ」
「ふーん」
なんだか肩すかしを食らったようだ。ナオのときとは違って反応が薄すぎる。
ユウキはまじまじとツチノコを観察するとゆっくりと籠の扉に手を伸ばした。
「何してんだ?」そのセリフを言う前にまたユウキがやらかした。
ユウキは扉を開けるとツチノコを鷲掴みにして部屋を出ようとしたのだ。
あまりに突然のことでコタロウは目の前を通り過ぎるユウキを目で追うことしかできなかった。…だが黒きオーラを纏う亡者はそれを見逃さなかった。
まるで飢えた獅子のごとく華奢なユウキの体をなぎ倒した。
「ついに本性を現したかクソ女ぁ!!!!二億を独り占めする気か!!」
「…ち、違うもん!…お金なんか欲しくない…!!」
「だったら何でツチノコ持って逃げようとしたんだぁ?あぁ?」
馬乗りになったナオはユウキの顔にドロッドロの唾をたらそうとしている。なんとおぞましい拷問だ…。
コタロウは見かねて止めに入るととりあえずユウキが握っているツチノコを籠に戻した。
コタロウは2人の間に入るととりあえずユウキの意味不明な行動の理由を聞いてみた。
「何であんなことしたんだ」
ユウキは黙っている。というよりはさっきのナオとの格闘で相当体力を使ったのだろう、しゃべりだすまでナオの鼻息だけが聞こえていた。
「…だって…売っちゃうんでしょ?ツチノコ…」
へ?売っちゃうんでしょ?他に何をするんだ?コタロウとナオはそのセリフの意味が分からなかった。