BAD GIRLその?

ケィ。  2008-10-13投稿
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足音は、部屋の前で止まった。

警備員に嗅ぎつけられたか、それとも…まさか、タックが?

バカな、あの自己中女が、この部屋に何の用があるっていうんだ?

第一、あれだけの警備員を相手に無事でいられる筈は無い。

しかし、もしアイツが捕まったなら、俺の存在を喋ったかも知れない。
アイツには侵入する事は打ち明けなかったが、警備員に仲間がいる、とは話した。

そして今俺は見事に、警備員の制服を着ている。

俺は足音の主を、俺の侵入に気づいた警備員と決めつけ、身構える。

「もー、先輩がゲームなんかに誘うから、不審者がどっか行っちゃったじゃないですか!」
「ノリノリだったくせに何言ってんの」
「いーえ!ちゃんと反対しました!」
「ハイハイ、口だけは、ね。じゃあ見つからない事だし、もう一試合やろうか」
「全然反省してないですね、先輩」
「君もね」

…何だ、ニャンニャンじゃなかったのか。
紛らわしい。

どうやらこの部屋に来る事は無さそうだ。
俺はホッと胸を撫で下ろした。

張りつめた空気が元に戻った所で、冷静さを取り戻したチェルシーが俺に詰め寄る。

「説明して。どうして彼は…」


バキッ  ドゴッ
「せ…先ぱ…い…」

ガスッ
「ぐあああぁ!」




…廊下で、不審な物音がした。
俺の全身を、冷や汗が伝う。何故だろう。

成金趣味丸出しの、派手な扉が、ゆっくりと――――開く。


カツン カツン

扉をくぐって入って来たのは、髪の長い少女だった。

が、ずる、と、その頭が突然地面に落ちてしまった。

しかし心配は要らない。落ちたのはカツラだった。
依然首は肩の上に載っている。

ザンバラ頭の、血みどろの顔が。


その口元が、ニィ、とつり上げられる。

「よォ、相棒。こんな所で何してンだ?」

タックは、やけにニコニコと近づいて来た。俺の本能が警鐘を鳴らす。いつからこの話はホラーになったんだ?

「タック、良かった、今から助けに行こうと…」

ゴ。

「るっっっっっっせぇンだよ!!!!
服が!!メチャクチャになっちまっただろーが!!!」


俺は今、脳みそがグチャグチャになったかと思ったのですが。



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